天文(春)

春日,春日向,春日影,春日

春の太陽をさす場合と、春の一日をいう場合がある。春の日差しは明るくうららかであり、永くのどかなものだと詠まれる。

春光,春の色,春色,春の匂い,春景色,春の光

春の景色や春の様子をいう。春の明るくやわらかな日差しの降り注ぐ中にあるもの。

春の空,春空,春天

移り変わりの早い空。ぼんやりと靄のかかったような色をしている。薄雲が流れていることもある。

春の雲,春雲

春は気圧の谷や低気圧が次々と通過するため、雲が発生しやすい。淡い白色のベール状の巻層雲、やや濃い灰色の高層雲があるが、いずれも薄く広がる。

春の月,春月,春月夜,春満月

単に月といえば秋の季語。特に春を付して春の季語とする。春の月は朧を賞する。大きく、重たげで、色も橙色を帯び、輪郭も滲んで柔らかい。

春三日月

三日月といえば秋の季語。そこに春の一文字を付したもの。秋の三日月は鎌形で鋭い印象だが、春の三日月は船のように水平にかかり、優し気に見える。

朧月,淡月

春月のなかでも特に朧にかすむ月をさす。秋の澄み渡った空に煌々と光る月とは対照的。

春の星,春星

冬の中天を占めていたオリオン座やスバルが低くなり、代わりに獅子座の北斗七星が目だってくる。寒気の中見上げる星空観察に比べて、潤んだような星の空を眺めるのは春の宵の楽しみである。

春の闇

月のない夜の闇や、月の出る前の暗さを言う。屋内にも屋外にも使う。

春の風,春風

春らしい暖かい風のこと。のどかで、のんびりした感じになる。

春一番,春一,春二番

立春を過ぎてから初めてふく強い南寄りの風のこと。

桜まじ

桜の咲くころに吹く、南、または南よりの暖かい風のこと。

風光る

光風。うららかな春の日にやわらかな風が吹き渡るその明るさをいう。

春疾風,春嵐

春に吹く強い風。

春塵(しゅんじん),春埃

関東ローム層は冬の雨が少なく、春先は地表が乾いていて強い風がふくとほこりが舞い上がりひどい。

春の雨,春雨

春に降る雨のこと。雨は暗い雰囲気があるが、春雨は独特の華やかさがある。

春時雨

断続して降る、春の雨。明るさや華やかさも加わる。

花の雨

眼前に見上げる桜の花に降り注いでいる雨。桜の咲いている頃に降る雨。

春の雪,牡丹雪,桜隠し

春になってから降る雪。

淡雪,泡雪,沫雪,綿雪

春の雪は気温が上がっているため、固まった雪の結晶が溶けやすいので淡雪と呼ばれる。直ぐ溶けてしまうのを惜しむ思いも込められている。

雪の果(ゆきのはて),名残雪,忘れ雪,雪の別れ,涅槃雪,雪涅槃

降りじまいの雪。春となって降る最後の雪をいう。

初虹,春の虹

二十四節季の清明の三候に「虹始めて見ゆ」とある。

春の雷

春の雷のこと。

鐘霞む

春の日の長閑な気分のなか、遠くから鐘の声が聞こえてくることをいう。視覚というより聴覚的な印象を表現している。

陽炎

遠方のモノが揺らいで見える現象。

蜃気楼

晩春、海面や地表近くの空気の温度差による光の屈折異常によって、遠くの船や景色が空中に浮かびあがって見えたり、普段見えないものが観えたりする。

逃水

晴天の路上に水たまりのようなものが見える。水だと思って近づくと、遠ざかってしまう。

春夕焼

長閑な1日が終わるのを惜しみ、明日をまた期待するかのような風情が漂う。はんなりと西空を染める春の夕焼けのこと。